2024.03.01

つねづね草 ~元校長のひとり言~

つい先日慌てて出したばかりの雛人形をもうしまわなければならない!

あっという間に2月が過ぎようとしています。

2月23日の舞台発表会は、寒い一日でしたが、スポットライトを浴びる児童生徒の笑顔に心温まったのではないでしょうか。残念ながら本番には参加できなくてがっかりしていたのですが、リハーサルには2回とも参加できましたので、各部それぞれの舞台をその成長と共に楽しませていただきました。今回も右スポットという丁度良い役割を頂きまして、舞台上で緊張したり、楽しんだり、がんばっている児童生徒のみなさんに光を当てることができました。1回目よりは2回目、よりよいパフォーマンスができるように、動きやセリフを大きく表現できたり、マイクの音量やライトの調整で声を拾ったり、児童生徒のやる気と教職員の支援、まさに協同作業を学部全体で行うことの熱量が目に見える形で伝わってきます。私は、舞台発表が大好きです。

さて今回は、「私立特別支援学校」についてのお話です。2022年度調べでは、わが国には1,171校の特別支援学校があります。そのうちのわずか15校が私立特別支援学校です。建学の精神や歴史、対象児童生徒、教育内容の特色も様々です。私立特別支援学校連合会には14校が加盟していますが、毎年各校順番に開催する私特連教職員研修会や総会などで、情報交換や意見交換に取り組んでいます。所在地は、北は北海道網走から南は四国高知県まで全国各地にまたがります。各校の姿形は様々ですが、どの学校も目の前の子どもから始まり、寄り添うこと、長期に教育支援をすることは共通しています。そしてどこも小さな学校です。私自身は14校全てを訪問してはいませんが、訪問した8つの学校それぞれに似た雰囲気を感じました。なんとも居心地のよい空間です。

2021年1月に「新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議 報告」が出されています。特別な支援を受ける子どもの数が増加する中で、特別支援教育をさらに進展させていくための教育環境の整備と充実を提言し、障害の有無に関わらず誰もがその能力を発揮し、共生社会の一員として共に認め合い、支え合い、誇りを持って生きられる社会の構築を目指ざす、とあります。

「特別支援学校は教育の原点である」といいますが、人が人と向き合う時、お互いを知ろうとするところから始まると思います。身体の動きや認知力、見ただけでは分かりにくい障がい特性を知ろうとする試み、子どもにとっても教員を試す行動が当然あります。自分の欲求をどこまで受け入れてくれるのか、自分の気持ちを分かってくれるのか、その感性をぶつけてくれます。分からないから知りたい、知るための手立て、ゆさぶりを経て、少しずつお互いを受け入れ相互関係が築かれ、相互理解から経験や認識を積み上げていく、子どもと教員の育ち合いが始まります。一人一人に向き合うことから「教育の原点」と言えるのだと思います。

教育は、人間形成のための営みであり、その子にとっての豊かな生活をイメージし、その実現のために自由に試行錯誤できることが大切なのだと思います。私立特別支援学校は、教育の原点である一人一人を大切にする教育に徹しなければならないと考えます。

歌ダンス踊るスポット光射すあの子に当たれこの子に当たれ